養生訓95

「爰(ここ)に人ありて、宝玉(ほうぎょく)を以(もっ)てつぶてとし、雀(すずめ)をうたば、愚(おろか)なりとて、人必(ひとかならず)わらはん。
至(いた)りて、おもき物をすてゝ、至りてかろき物を得(え)んとすればなり。人の身は至りておもし。
然(しか)るに、至りてかろき小なる欲をむさぼりて、身をそこなふは、軽重(けいちょう)をしらずといふべし。宝玉を以(もっ)て、雀をうつがごとし。」

意訳

例えば、雀を追い払うため、小石の代わりに、高価な宝石を投げたら人は笑うでしょう。価値の軽重を知るべきです。健康は、世の中で一番大切で貴重です。目先の欲に翻弄されてはいけません。

通解

ここに人がいて、宝玉を投げ物として使い、雀を撃とうとして、愚かであるとして人々は笑うでしょう。それと同様に、人は自分の身体を大切にすべきです。しかし、人々は軽い欲望に追われて、身体を害することがあります。軽いものであるはずの小さな欲望に取り憑かれて、身体を壊すことは、重要なことを無視しているのと同じです。宝玉を使って雀を撃つようなものです。

気づき

人の価値観は多様なので何が大切かは「人それぞれ」だと思います。ただ、人生において、自分にも、周囲にも、影響が大きいのは、やはり、健康ではないでしょうか。養生とは健康の価値を知る事かも知れませんね。

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