養生訓72(巻第二総論下)

「爰(ここ)に人ありて、宝玉(ほうぎょく)を以(もっ)てつぶてとし、雀(すずめ)をうたば、愚(おろか)なりとて、人必(ひとかならず)わらはん。
至(いた)りて、おもき物をすてゝ、至りてかろき物を得(え)んとすればなり。人の身は至りておもし。
然(しか)るに、至りてかろき小なる欲をむさぼりて、身をそこなふは、軽重(けいちょう)をしらずといふべし。宝玉を以(もっ)て、雀をうつがごとし。」

意訳

例えば、雀を追い払うため、小石の代わりに、高価な宝石を投げたら人は笑うでしょう。価値の軽重を知るべきです。健康は、世の中で一番大切で貴重です。目先の欲に翻弄されてはいけません。

通解

ここに人がいて、高価な宝石使い、雀を追い払おうと投げたら人々は愚かな人と笑うでしょう。それと同様に、自分の身体を一番に大切にすべきです。しかし、人々は軽い欲望に追われて、身体を害することがあります。
軽いものであるはずの小さな欲望に取り憑かれて身体を壊すことは本末転倒です。宝石を使って雀を撃つようなものです。

気づき

人の価値観は多様なので何が大切かは「人それぞれ」だと思います。ただ、人生において、自分にも、周囲にも、影響が大きいのは、やはり、健康ではないでしょうか。養生とは健康の価値を知る事かも知れませんね。

宝玉とは
「宝玉」(ほうぎょく)は、宝石や宝飾品を指す言葉です。宝玉は貴重な鉱物、宝石、または宝飾品全般を指す一般的な用語で、多くの異なる種類の宝石が含まれます。代表的な宝石には、ダイヤモンド、エメラルド、サファイア、ルビー、真珠、アクアマリン、アメジスト、トパーズ、オパールなどがあります。

宝玉は装飾品として使用されるだけでなく、装飾的な価値や魅力を持つだけでなく、文化的、宗教的、超自然的な価値も持つことがあります。歴史的には、宝石は王宮の宝庫や宗教的な儀式、宝物として保管され、様々な伝説や神話に登場することがあります。

「宝玉」という言葉は、宝石や宝飾品の美しさや希少性を強調するために使用されます。また、詩や文学の中で、美や貴重さ、精神的な価値を象徴するたとえとしても用いられます。