養生訓94

養生の道は、恃(たの)むを戒(いま)しむ。わが身のつよきをたのみ、わかきをたのみ、病の少(し)いゆるをたのむ。是皆わざはひの本也。刃の鋭(と)きをたのんで、かたき物をきれば、刃折(やいばお)る。
気のつよきをたのんで、みだりに気をつかへば、気へる。
脾腎(ひじん)のつよきをたのんで、飲食・色慾を過(そご)さば、病となる。

意訳

養生の道は過信を戒めることです。切れ味よい刀も、堅いものを切れば、刃こぼれします。精神的に強いと思われている人も、本当は病んでいる場合もあります。お酒が強いといって飲み過ぎたり身体が強いといって無理をすれば病気になります。

通解

養生の方法は、過信を戒めることです。自身の強さに頼り、若さに頼り、病気平癒半ばの油断を戒めるべきです。
これらはすべて無謀な行為です。鋭い刃を頼り、困難な物を切ろうとすれば、刃は折れてしまいます。気の強さを頼り、無闇に気を使いすぎれば、気を消耗してしまいます。脾臓と腎臓の強さを頼り、飲食や色欲を過度に追求すれば、病気になってしまいます。

気づき

自信と過信は紙一重と以前、聞いたことがあります。加齢とともに経験が豊富になり油断にも繋がります。
何事も、ほどほどが良いようです。

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