養生訓38(巻第一総論上)

「農・工・商は各(おのおの)其(その) 家のことわざをおこたらずして、朝夕よくつとむべし。婦女(ふじょ)は、ことに内に居(い)て、気鬱滞(きうつたい)しやすく、病(やまい)生じやすければ、わざをつとめて、身を労動すべし。
富貴の女も、おや、しうと、夫に、よくつかへて、やしなひ、織(お)り縫(ぬ)ひ、紡績(うみつむ)ぎ、食品を、よく調(ととのえ)るを以(もって)、職分(しょくぶん)として、子をよくそだて、つねに安坐(あんざ)すべからず。」

意訳

財産があってもなくても、年齢に関係なく身体を動かし仕事があればしたほうがよいでしょう。

通解

農業、工業、商業の人々は、それぞれ自分の家庭のことを大切にし朝晩をよく労し努力するべきです。特に女性は、家事に専念することが多く気分が沈んだり体調を崩しやすく病気にかかりやすい傾向がありますので仕事を大切にし身を労働させることが重要です。

富裕な家庭の女性であっても両親に孝養を尽くし夫によく仕え織り縫いや紡績、食品の調理などの仕事をよく行うことによって自分の職務を果たし、子供をよく育てることが求められます。そして、常に安静に座ってばかりいることは避けるべきです。