養生訓18(巻第一総論上)
「養生の術は先(まず)心気を養ふべし。心を和(やわらか)にし、気を平らかにし、いかりと慾とを、おさへ、うれひ、思ひを,すくなくし、心をくるしめず、気をそこなはず、是(これ)心気(しんき)を養ふ要道(ようどう)なり。
又、臥(ふ)す事をこのむべからず。久しく睡り臥(ふ)せば、気滞(きとどこうり)りてめぐらず。
飲食,いまだ消化せざるに、早く臥し、ねぶれば、食気(しょくき)ふさがりて甚(はなはだ)元気をそこなふ。いましむべし。
酒は微酔(びすい)にのみ、半酣(はんかん)をかぎりとすべし。
食は半飽(なかば)に食ひて、十分に満(み)つべからず。」
意訳
ストレスを少なくすることが、一番の心身の健康法です。
長い睡眠はよくありません。血液の循環が悪くなります。
特に、食後に寝入るのは最悪です。
お酒もほろ酔い程度が一番です。深酒はよくありません。
お酒も食事も一定量を決めておくことが大切です。
通解
「健康を保つためには、まず心と気を養うことが重要です。心を穏やかにし、気を落ち着かせ、怒りや欲望を抑え、喜びや悲しみを少なくし、心を苦しめずに気を乱さないようにすることが心気を養う要点です。
また、長時間寝ることは避けるべきです。長時間寝ると気が滞り、体の巡りが悪くなります。
食事がまだ消化されていない状態で早く寝ると消化不良によって元気を損なうことがあります。注意が必要です。
お酒は程よく飲むことで、微酔程度にして完全に酔わないようにしましょう。
食事は半分程度までに控えめにして必ずしも十分に満腹になる必要はありません。」
「半酣(はんかん)」とは
「半酣(はんかん)」は「半分ほど酔っている状態」を指す表現です。
具体的には、アルコールを摂取した結果、まだ完全に酔っているわけではないが、少し酔った状態を表現する言葉として使われます。