養生訓344(巻第七 用薬)
身体短小(しんたいたんしょう)にして、腸胃(ちょうい)小(しょう)なる人、虚弱(きょじゃく)なる人は、薬を服するに、小服に宜(よろ)し。されども、一匁(もんめ)より小なるべからず。身体長大(しんたいちょうだい)にして、腸胃(ちょうい)ひろき人、つよき人は、薬、大服(だいふく)に宜(よろ)し。小児(しょうじ)の薬に、水をはかる盞(さかずき)は、一服(いっぷく)の大小によりて、是(これ)も水五十匁(もんめ)より、五十五匁(もんめ)入(いる)ほどなる盞(さかずき)を用(もち)ゆ。是又(これまた)、盞(さかずき)の重(おも)さを除きて、水の重さなり。利湯(りとう)は、一服に水一盞(うき)入(いれ)、七分(ななぶ)に煎(せん)じ、二三度(にさんど)に用(もち)ゆ。かすはすつべし。補湯(ほとう)には、水一盞半(みずいっうきはん)を用(もち)て、七分(ななぶ)に煎じ、度々(たびたび)に熱(ねつ)服(ふく)す。是(これ)又、かすはすつべし。或は、かすにも水一盞入(れ)、半盞に煎(せん)じつめて用ゆべし。
養生訓(意訳)
薬を飲むとき、自分の身の丈にあった量を服用した方が良いでしょう。
通解
身体が小さく、消化器官も小さい人や虚弱な人は、薬を服用する際には少量の服用が適しています。ただし、一匁よりも小さくするべきではありません。少量の服用が必要です。
一方、身体が大きく、消化器官も広い人や体力のある人は、薬を大量に服用することが適しています。大量の服用が適切です。
小児の薬の場合、服用する水の量は一服の大きさによって異なります。一服の大きさに対して、水の量は通常、水五十匁以上、五十五匁程度の容量の盞(さかずき)を使用します。ただし、盞の重さは考慮せず、水の重さだけを考えます。
利湯の場合、一服に水一盞を加え、七分の量まで煎じて、二三度に分けて服用します。かす(濁り)は取り除くべきです。
補湯の場合、水一盞半を使用し、七分の量まで煎じて、度々に熱く服用します。また、かすは取り除くべきです。また、かすにも水一盞を加え、半盞に煎じて濃くして使用することもあります。