養生訓366

補薬(ほやく)は、滞塞(たいそく)しやすし。滞塞(たいそく)すれば害あり益なし。利薬(りやく)を服するより、心を用ゆべし。もし大剤にして気塞(ふさ)がらば、小剤(しょうざい)にすべし。或(あるいは)棗(なつめ)を去(さ)り生姜(しょうが)を増すべし。補中益気湯(ほちゅうえききとう)などのつかえて用(もちい)がたきには、乾姜(かんきょう)、肉桂(にくけい)を加(くわ)ふべき由(よし)、薜立斉(せつりゅうさい)が医案(いあん)に、いへり。又、症(やまい)により附子(ぶし)、肉桂(にくけい)を少(すこし)加(くわ)へ、升麻(しょうま)、柴胡(さいこ)を用(もちい)るに、二薬(にやく)ともに火を忌(い)めども、実にて炒(り)用ゆ。是(これ)正伝惑問(せいでんわくもん) の説(せつ)也。又、升麻(しょうま)、柴胡(さいこ)を去(さり)て桂姜(けいきょう)を加ふる事あり。李時珍(りじちん)も、補薬(ほやく)に少(すこし)附子(ぶし)を加(くわ)ふれば、その功(こう)するどなり、といへり。虚人(きょ)の熱(ねつ)なき症(やまい)に、薬力(やくりき)をめぐらさん為ならば、一服(いっぷく)に五釐(りん)か一分(いちぶ)加ふべし。然(しか)れども病症(びょうしょう)によるべし。壮人(そうじん)には、いむべし。

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