養生訓324(第六巻 択医)
我よりまへに、其(その)病人に薬を与(あた)へし医(い)の治法(ちほう)、たとひあやまるとも、前医(ぜんい)をそしるべからず。他医(たい)をそしり、わが術(じゅつ)にほこるは、小人(しょうにん)のくせなり。医の本意(ほんい)にあらず。其(その)心(こころ)ざまいやし。きく人に思ひ下(くだ)さるゝも、あさまし。
養生訓(意訳)
医者の中には、患者の前で前医の悪口を言う医者もいます。聞くに堪えない浅ましさです。
通解
あなた自身が前の医師よりも治療法を提案し、患者に薬を与える場合でも、たとえ間違っていたとしても、前の医師を貶めるべきではありません。他の医師を非難し、自身の技術を自慢することは、小さな人間の行為です。それは医師の真の意図に反するものです。そのような心の持ち方は改めるべきです。他の人に謙虚に接する姿勢を示すことが大事です。