養生訓293(第六巻 慎病)
冬は、天地(てんち)の陽気(ようき)とぢかくれ、人の血気(けっき)おさまる時也。心気を閑(しずか)にし、おさめて保つべし。あたゝめ過(すご)して陽気(ようき)を発し、泄(もら)すべからず。上気せしむべからず。衣服(いふく)をあぶるに、少(すこし)あたゝめてよし。熱きをいむ。衣(きぬ)を多くかさね、又は火気(かき)を以(もって)身をあたゝめ過(すご)すべからず。熱湯(あつゆ)に浴(よく)すべからず。労力(ろうりょく)して汗を発し、陽気(ようき)を泄(もら)すべからず。
養生訓(意訳)
冬は人間の血気が静まる季節です。寒いからといって厚着したり、暖房をしすぎないようにしましょう。冬に熱いお風呂や長湯は避けましょう。
通解
冬には、天地の陽気がひっそりとしまって、人の血気も収まる時期です。心の気を静かに保ち、穏やかにしておく必要があります。過度に暖を取りすぎて陽気を発散させたり、上気してしまったりすることは避けるべきです。衣服を温めるために少し暖房を使うのは良いですが、熱すぎることは避けましょう。服を重ね着したり、または火に近づいて身体を暖め過ぎることは避けるべきです。熱いお湯に浸かることも避けましょう。過度の労力をかけて汗をかき、陽気を放散させることも避けるべきです。
一つ上のアイテム