養生訓315

夏月(かげつ)、古き井(ふるきいど)、深き穴の中に人を入 (いるる) べからず。毒気(どっけ)多し。古井(ふるいど)には先(ま)ず、鶏(にわとり)の毛を入(いれ)て、毛、舞(ま)ひ下(さが)りがたきは、是(これ)毒あり、入 (いる)べからず。火をもやして、入れて後、入(いる)べし。又、醋(す)を熱くわかして、多く井(いど)に入(いれ)て後、人(ひと)入(いる)べし。夏至(げし)に井(いど)をさらえ、水を改(あらた)むべし。秋は、夏の間(あいだ)肌(はだえ)開け、七八月は、残暑(ざんしょ)も猶(なお)烈(はげ)しければ、腠理(そうり)いまだとちず。表気(ひょうき)いまだ堅(かた)からざるに、秋風(あきかぜ)すでにいたりぬれば、感じてやぶられやすし。慎(つつし)んで、風涼(ふうりょう)にあたり過(すご)すべからず。病ある人は、八月、残暑(ざんしょ)退(しりぞ)きて後、所々(しょしょ)に灸(きゅう)して風邪(ふうじゃ)をふせぎ、陽(よう)を助(たす)けて痰咳(たんせき)のうれひをまぬがるべし。

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