養生訓290(第六巻 慎病)
四月は純陽(じゅんよう)の月(つき)也(なり)。尤 (もっとも) 色慾(しきよく)を禁ずべし。雉 (きじ) 鶏(にわとり)など温熱 (うんねつ) の物、食(くら)うべからず。四時(よじ)の内、夏月(かげつ)、尤 (もっとも) 保養すべし。霍乱 (かくらん) 、中暑(ちゅうしょ)、傷食 (しょうしょく) 、泄瀉(せっしゃ)、瘧痢 (ぎゃくり) の病、おこりやすし。生冷の飲食を禁じて、慎(つつし)んで保養(ほよう)すべし。夏月(かげつ)、此病(このやまい)おこれば、元気へりて大(おお)いに労(ろう)す。
養生訓(意訳)
四季のうち、夏が一番注意が必要です。胃腸の病気が起こりやすくなります。冷たい物を飲み過ぎないようにしましょう。夏に、体調を壊せば、大病のもとになります。
通解
四月は純陽の月也”という表現は、四月が暖かく日差しが強くなる季節であることを指しています。”尤も色欲を禁ずべし”とは、この時期には特に色々な欲望に注意を払い、節制するべきだという意味です。
“雉鶏など温熱の物、食うべからず”という文は、夏に体を温める性質のある食べ物や飲み物を避けるべきだと述べています。この時期には、暑さと湿気によって体調を崩しやすくなる可能性があるため、軽い食事や冷たい飲み物を摂ることが推奨されます。
“四時の内、夏月、尤保養すべし”とは、一日のうちで特に午前四時から午後四時までの時間帯は、夏になると体を休めるために重要な時間帯であると言っています。この時間帯は、涼しい場所で過ごしたり、休息を取ったりすることで、夏の熱中症や体調不良を予防することができます。
“霍乱、中暑、傷食、泄瀉、瘧痢の病、おこりやすし”とは、夏には霍乱や中暑(熱中症)、食中毒、下痢、疟病などの病気にかかりやすくなるということを指しています。これらの病気を予防するためには、生冷の飲食物を避け、適度に休息を取り、体を冷やしすぎないようにすることが重要です。