養生訓265(巻第五 五官)
医説(いせつ)曰(いわく)、食(しょく)して後、体倦(からだう)むとも、即(すなわち)寝(いぬ)る事(こと)なかれ。身を運動し、二三百歩しづかに歩行して後、帯(おび)をとき、衣(きぬ)をくつろぎ、腰をのべて端坐(たんざ)し、両手にて心腹(しんぷく)を按摩(あんま)して、縦横(じゅうおう)に往来(おうらい)する事、二十遍(ぺん)。又、両手を以(もって)、わき腰の間より、おさへなでて下(さが)る事、数十遍(ぺん)ばかりにして、心腹の気ふさがらしめず。食滞(しょくとどこおり)、手に随(したが)つて消化(しょうか)す。
養生訓(意訳)
食後に、少し歩いてから、お腹を撫でたり、按摩すると消化が良くなると古い中国の医書に書いてあります。
通解
医学の教えによれば、食事を摂った後で体がだるくても、すぐに寝てはいけません。代わりに、体を動かし、ゆっくりと200~300歩歩いた後、帯を緩め、服をゆるめ、腰を伸ばして座り、両手で胃部をマッサージして、上下左右に20回ほど往復することが良いです。また、両手を使って、脇腹の間から下に向かって何度か撫で下ろし、胃部の気を詰まらせずに消化を助けます。食べ物が胃に詰まった場合、手で行うマッサージがそのまま胃の消化をサポートします。
気づき
この文は、食事後に体が疲れていても、すぐに寝ることは避け、身体を動かして二三百歩歩いた後、帯を緩め、衣服をゆるめ、腰を伸ばして座り、両手で胃をマッサージし、縦横に歩くことを二十回行うように勧められています。
また、両手を脇腹の間から下に滑らせることを数十回行うと、消化が促進され、胃の不快感が軽減されると述べられています。
食後の養生として、実践したいものです。