養生訓258(巻第五 五官)
貴人の前に久しく侍(はん)べり、或(あるいは)公廨(くがい)に久しく坐して、足しびれ、にはかに立(たつ)事ならずして、たふれふす事あり。立んとする前より、かねて、みづから足の左右の大指を、しばしば動し、のべかがめすべし。かやうにすれば、しびれなえずして、立がたきのうれひなし。平日、時々両足(りょうそく)の大指を、のべかがめ、きびしくして、ならひとなれば、転筋(てんきん)のうれひなし。又、転筋したる時も、足の大指をしばしば動かせばやむ。是急を治するの法なり。しるべし。上気する人も、両足をのべて、大指をしばしば動すべし、気下る。此法、又人に益あり。
養生訓(意訳)
長く正座をした場合、足がしびれて立てない事があります。無理に立とうとせずに、両足の親指を動かしてから、ゆっくり、立つ練習をすると良いです。この方法は、こむらがえりにも、効果があります。
通解
長時間、貴族や公の場で座っていると、足がしびれたり、急に立ち上がるのが難しいことがあります。この問題を解決するために、足の大きな指をこまめに動かすことが助けになります。足の大指をしばしば動かす習慣を身につければ、しびれを防ぎ、スムーズに立ち上がることができます。
また、転筋(こむらがえりのこと)が起こった場合でも、足の大指を動かすことで痙攣を和らげることができます。この方法は筋肉の痙攣をすばやく緩和するのに役立ちます。気分が良くなりますし、他の人にも役立つ方法です。
気づき
最近、正座をする機会も少なくなりましたが、こむらがえりは多くなりました。加齢と関係があるのでしょうか。