養生訓224(巻第四 飲酒)
五湖漫聞(ごこまんぶん)といへる書に、多く長寿の人の姓名(せいめい)と年数(ねんすう)を載(のせ)て、「其(その)人皆老(おい)に至(いた)て衰(おとろえ)ず。之(この)問(と)ふ皆(みな)酒を飲まず」といへり。今わが里の人を試(こころ)みるに、すぐれて長寿(ちょうじゅ)の十人に九人は皆(みな)酒を飲ず人なり。酒を多く飲む人の長寿なるはまれなり。酒は半酔(はんよい)にのめば長生(ながいき)の薬となる。
養生訓(意訳)
お酒については、「酒豪は長生きしていない」と書いてある文もあります。しかし、お酒は、ほろ酔い程度であれば、長生きの薬になるでしょう。
通解
「五湖漫聞」という書には、多くの長寿の人々の名前とその年齢が記載されており、「これらの人々は皆、老いて衰えず、質問をしても酒を飲まない」と述べられています。しかし、今の時代、私の住む里の人々を見てみると、長寿な人々のうちで酒を飲まないのは9人中の10人であり、酒を多く飲む人々が長寿であることは稀です。酒は半分程度飲むと、長寿の秘訣となることがあります。