養生訓208(巻第四 飲食下)

一切の食物の内、園菜(えんさい)、極めて穢(けがら)はし。其(その)根葉(こんよう)に久(ひさ)しくそみ入たる糞汚(ふんよごれ)、俄かに去がたし、水桶(みずおけ)を定(さだ)め置(おき)、水を多く入て菜(は)をひたし、上におもりをおき、一夜か一日か、つけ置(おき)取出し、印子(いんす)を以てその根葉茎(ねはくき)をすり洗(あら)ひ、清(きよ)くして食すべし。
此事(このこと)、近年、李笠翁(りりゅうおう)が書に見えたり。
もろこしには、神を祭(まつ)るに園菜(えんさい)を用(もち)ひずして、山菜水菜(さんさいみずな)を用ゆ。園菜(えんさい)も、瓜(うり)、茄子(なすび)、壺盧(ひざご)、冬瓜(とうがん)などはけがれなし。

通解

すべての食材の中で、園菜は非常に汚れています。その根や葉には長い間糞や汚れがついており、一瞬で取り除くことは難しいです。そこで、水を入れた桶に園菜を浸し、上に重しを置いて一晩か一日置いておき、それから取り出して笊(ざる)を使って根や葉茎を擦って洗い、清潔にしてから食べるべきです。

最近では、李笠翁の著書にも同様のことが記されています。

また、もろこし(中国)においては、園菜ではなく山菜や水菜を用いているそうです。瓜や茄子、壺盧(ひょうたんの別称)や冬瓜なども、けがれがなく安心して食べることができます。

気づき

昔は、肥しを使っていましたから今より衛生的ではなかったのでしょうか。私は、丹念に洗ってから料理するようにしています。