養生訓341(巻第七 用薬)

今、ひそかにおもんぱかるに、利薬(りやく)は、一服の分量(ぶんりょう)、一匁五分(いちもんめごふ)より以上、二匁(にもんめ)に至(いた)るべし。その間の軽重(けいちょう)は、人の大小強弱によりて、増減すべし。補薬一服(ほやくいっぷく)の分量は、一匁(いちもんめ)より一匁五分(いちもんめごぶ)に至(いた)るべし。補薬(ほやく)つかえやすき人は、一服一匁(いちもんめ)或(あるいは)一匁二分なるべし。是又、人の大小強弱によりて増減すべし。又、攻補(こうほ)兼(かね)用(う)る薬方あり、一服一匁(いっぷくいちもんめ)二三分より、一匁七八分(いちもんめしちはちぶ)にいたるべし。婦人の薬は、男子より小服に宜(よろ)し。利湯(りとう)は一服一匁二分より一匁八分に至(いた)り、補湯(ほとう)は一匁より一匁五分にいたるべし。気体強大(きたいきょうだい)ならば、是より大服(たいふく)に宜(よろ)し。小児の薬、一服は、五分より一匁(もんめ)に至るべし。是又、児の大小をはかつて増減すべし。