養生訓297

泄痢(せつり)し、及食滞(しょくとどこおり)、腹痛(ふくつう)に、温湯(おんとう)に浴(よく)し、身体をあたたむれば、気めぐりて病(やまい)いゆ。 甚(はなはだ)しるしあり。初発(しょはつ)の病には、薬を服するにまされり。身に小瘡(こがさ)ありて熱湯(あつゆ)に浴し、浴後、風にあたれば肌(はだ)をとぢ、熱、内にこもりて、小瘡(こがさ)も、肌の中に入て熱(ねつ)生(しょう)じ、小便通(つう)ぜず、腫(はれ)る。此症(このしょう)、甚(はなはだ)危(あやう)し。おほくは死す。つつしんで、熱湯(ねっとう)に浴(よく)して後、風にあたるべからず。俗に、熱湯(ねっとう)にて小瘡(こがさ)を内にたでこむると云う。左にはあらず、熱湯に浴し、肌表(はだおもて)、開きたる故に、風に感じやすし。涼風(りょうふう)にて、熱を内にとづる故、小瘡(こがさ)も共に内に入るなり。

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