養生訓274(巻第五 湯浴)

泄痢(せつり)し、及食滞(しょくとどこおり)、腹痛(ふくつう)に、温湯(おんとう)に浴(よく)し、身体をあたたむれば、気めぐりて病(やまい)いゆ。 甚(はなはだ)しるしあり。初発(しょはつ)の病には、薬を服するにまされり。身に小瘡(こがさ)ありて熱湯(あつゆ)に浴し、浴後、風にあたれば肌(はだ)をとぢ、熱、内にこもりて、小瘡(こがさ)も、肌の中に入て熱(ねつ)生(しょう)じ、小便通(つう)ぜず、腫(はれ)る。此症(このしょう)、甚(はなはだ)危(あやう)し。おほくは死す。つつしんで、熱湯(ねっとう)に浴(よく)して後、風にあたるべからず。俗に、熱湯(ねっとう)にて小瘡(こがさ)を内にたでこむると云う。左にはあらず、熱湯に浴し、肌表(はだおもて)、開きたる故に、風に感じやすし。涼風(りょうふう)にて、熱を内にとづる故、小瘡(こがさ)も共に内に入るなり。
養生訓(意訳)
下痢や消化不良の時は、温かいお風呂の入り、温めると気がめぐって身体に良いでしょう。しかし、熱湯での入浴は、注意が必要でしょう。
通解
下痢をしたり、食べ物が胃に詰まるなど、腹痛の際に、温かいお湯に浸かり、体を温めると、体内の気が巡り、病気が和らぐことがあります。特に初期の病気には、薬を服用するよりもお湯に浸かることが効果的です。また、皮膚に小さな傷やかゆみがある場合、熱いお湯に浸かり、その後風に当たると、皮膚が収縮し、熱やかゆみが内部に引きこもり、小さな傷が皮膚の中に入り込んでしまうことがあります。この状態は非常に危険で、多くの場合、重篤な感染症を引き起こすことがあります。したがって、熱いお湯に浸かった後は、風に当たらないように注意すべきです。一般的な誤解として、「熱湯で小傷を内に押し込む」と言われることがありますが、これは誤りです。実際には、熱いお湯に浸かった後、皮膚が開いているため、風に当たると内部に熱や小さな傷が入り込むことがあります。