養生訓240(巻第四 慎色欲)
小便(しょうべん)を忍(しの)びて房事(ぼうじ)を行なふべからず。龍脳(りゅうのう)・麝香(じゃこう)を服して房室(ぼうしつ)に入べからず。入門(にゅうもん)曰(いわく)、婦人懐胎(ふじんかいたい)の後、交合(こうごう)して慾火(よくか)を動かすべからず。腎(じん)は五臓(ごぞう)の本、脾(ひ)は滋養(じよう)の源(みなもと)也。ここを以(もって)、人身は脾腎(ひい)を本源(ほんげん)とす。草木の根本(こんぽん)あるが如し。保(たも)ち養つて堅固(けんご)にすべし。本(もと)固ければ身(み)安(やす)し。
養生訓(意訳)
房時の前に小便は済ましておきましょう。腎臓は内臓の中でも重要な臓器です。大切にしましょう。
通解
小便を我慢して房事を行ってはいけません。また、龍脳や麝香を使って房室に入るべきではありません。入門に記されていますが、妊娠している婦人の後に房事を行い、慾火を刺激してはいけません。腎臓は五臓の中でも特に重要で、脾臓は体の栄養源です。これらの臓器を大切にし、強化しておくことが大切です。臓器が健康であれば、身体全体が安定し、健康であることが期待できます。
気づき
ちなみに、慾火とは、はげしい情慾のことだそうです。