養生訓108

ひとり家に居て、閑(しずか)に日を送り、古書(こしょ)をよみ、古人の詩歌(しか)を吟じ、香(こう)をたき、古法帖(こほうじょう)を玩(あそ)び、山水をのぞみ、月花(げっか)をめで、草木を愛し、四時(よじ)の好景(こうけい)を玩(あそ)び、酒を微酔(びすい)にのみ、園菜(えんさい)を煮るも、皆(みな) 是(これ) 心を楽ましめ、気を養ふ助なり。貧賎(ひんせん)の人も此楽(このたのしみ)、つねに得やすし。もしよく此楽をしれらば、富貴(ふうき)にして楽をしらざる人にまさるべし。

意訳

孤独でも、本を読んだり、山河を歩いたり、菜園を作ったり、心を楽しむことは、たくさんあります。これらの楽しみを知っている方は、名誉や財産がある人よりも幸せです。

通解

一人で家にいて、静かに日々を過ごし、古典を読んで古代の詩歌を詠み、香を焚き、古代の法帖を楽しんで、自然の山水を眺め、月や花を楽しみ、草木を愛で、四季の美しい景色を楽しんで、微酔になりながら酒を楽しみ、自分で育てた野菜を調理することなど、これらの活動は全て心を楽しませ、気を養うのに助けとなります。貧しさや地位に関係なく、誰でもこのような楽しみを常に得ることができます。もしもこれらの楽しみ方をよく知っていれば、富貴であるがゆえに楽しみ方を知らない人にも勝ることでしょう。

気づき

人生の目標は、いったい何かを考えさせられます。きっと、寿命が尽きるまで健康で楽しく生きることかも知れませんね。

古法帖(こほうちょう)」とは

古法帖(こほうちょう)」は、日本の書道や美術の分野で使用される専門用語です。この用語は古典的な書法や書写の手本として用いられる古い書蹟(書かれた作品)を指します。これらの古法帖は、書道家や学生が書の技術や美意識を向上させるために模写するために使用されます。

古法帖には、歴史的に重要な書家や文学者によって書かれた書蹟が含まれており、それらは美しい文字や表現、書法のスタイルを示す良い例となっています。日本の書道において、古法帖は伝統的な書道教育の一部であり、学生はこれらの古典的な書蹟を模写することによって技術を向上させ、美しい文字を書くための知識と感覚を養います。

古法帖は、日本の書道の歴史と文化において非常に重要な存在であり、書家や書道愛好者にとって尊重される資料となっています。これらの古典的な書蹟には、日本の詩や仏教の経典、古典文学などからのテキストが含まれていることが一般的です。

養生訓

前の記事

養生訓107
養生訓

次の記事

養生訓109