養生訓398(巻第八 灸法)
癰疽(ようそ)、及、諸瘡(しょくさ)、腫物(しゅもつ)の初発(しょはつ)に、早く灸すれば、腫(はれ)あがらずして消散(しょうさん)す。うむといへ共(ども)、毒(どく)かろくして、早く癒(いえ)やすし。項(うなじ)より上に発したるには、直(ただち)に灸すべからず。三里(さんり)の気海(きかい)に灸すべし。凡(およそ)腫物(しゅもつ)出(いで)て後、七日を過ぎば、灸すべからず。此、灸法、三因方(さんいんほう)以下、諸方書(しょほうしょ)に出たり。医に問(とい)て灸すべし。事林広記(じりんこうき)に、午後に灸すべしと云へり。
養生訓(意訳)
病気がある場合には、医者に相談して灸をした方が良いでしょう。
通解
癰疽や各種の瘡(疮)、腫瘤などが初めて発生した場合、早めに灸を行うと、腫れが広がらずに消散することがあります。また、炎症が軽くなり、早く治癒することもあります。ただし、首の上部に発生した場合は直ちに灸を行うべきではありません。三里の気海(腹部の特定の経穴)に灸を行うべきです。一般的に、腫瘤が発生してから7日以上経過した場合は、灸を行うべきではありません。このような灸法は、「三因方」などの古書に詳しく記載されていますので、医師に相談して灸を行うべきです。また、「事林広記」には、午後に灸を行うべきと記されています。