養生訓367(巻第七 用薬)
養生訓(意訳)
良い香りは、生気を助け、邪気を払い、悪臭を消し、けがれを除きます。暇がある時に、静かな部屋で香を焚いて、黙座すると心が落ち着きます。これも養生の道の一つです。
通解
諸香を楽しむことは、五味を楽しむことと同様です。諸香は、生気を助け、邪気を払い、悪臭を取り除き、不純物を清め、神聖さを感じさせます。静かな部屋に座って香をたき、黙坐することは、雅趣を味わいながら心を養うことです。これもまた養生の一つです。香には四つの種類があります。たき香は、線香や薫物のことを指します。からの書には「百和香」と言います。日本でも古今和歌集に「百和香」という言葉が見られます。掛香は香り袋や香玉などのことを指します。貼香は花の露や兵部卿など身につける香のことです。食香は食べて香りの良い物、透頂香や香茶餅、団茶などを指します。