養生訓29

「身命と私慾(しよく)との軽重(けいちょう)をよくおもんばかりて、日々に一日を慎(つつ)しみ、私慾(しよく)の危(あやうき)を,おそるる事、深き淵(ふち)にのぞむが如(ごと)く、薄き氷をふむが如くならば、命ながくして、ついに殃(わざわい)なかるべし。

意訳

健康であることの感謝を忘れず、日々、病気にならないように不規則な生活を戒めることが健康の秘訣である。

通解

大切なことは、身と命、そして私慾の軽重をよく考え、日々慎重に行動することです。私慾による危険を恐れ、深い淵を覗くような気持ちで、薄い氷を踏むような慎重さを持つことが重要です。このような姿勢で生きることで、命を長く保ち、最後には災厄に見舞われることもなくなるでしょう。

「軽重」とは

「軽重」という言葉は、物事や問題の重要性や優劣を比較するために使われる表現です。この表現は主に日本の文化や言葉で見られます。具体的には、以下のような意味や用法があります:

問題の軽重:何か問題や課題に対して、それがどれだけ重要であるか、あるいは軽微であるかを評価するときに使われます。軽重の判断は状況や文脈に依存し、重要な問題には真剣に取り組み、軽微な問題にはあまり気にしない、といった風に使われます。

人の軽重:個人や人間関係においても、特定の人の性格や行動の質を評価するために用いられることがあります。例えば、誰かの意見や行動に対して「その人の軽重を考えてみてください」と言うことは、その人の信頼性や価値を判断することを指します。

物事の軽重:物理的な対象や事象に関しても、それらがどれだけ軽いか(軽軽)あるいは重いか(重重)を比較する際に使われます。例えば、物の運搬や持ち上げにおいて、その重さを表現する際に使われることがあります。

総じて、「軽重」という表現は、事柄や物事、人々の性格や行動に対する評価や比較を行う際に用いられ、それらの優劣や重要性を判断するための指針として機能します。

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