養生訓155
珍美(ちんみ)の食に対すとも、八九分(はちきゅうぶ)にてやむべし。十分に飽(あ)き満(み)るは後(のち)の禍(わざわい)あり。
少しの間、欲をこらゆれば後の禍なし。
少のみくひて味のよきをしれば、多くのみくひて、あきみちたるに其(その)楽(たのしみ)同じく、且(かつ)後の災なし。
少(すこし)のむくひて味のよきをしれば、多くのみくひて、あきみちたるに其(その)楽(たのしみ)同じく、且(かつ)後の災なし。
萬(よろず)に事十分にいたれば、必ず、わざはひとなる。
飲食尤(もっとも)満意(まんい)をいむべし。
又、初に慎めば必ず、後の禍(わざわい)なし。
意訳
大好きな料理や高価な食事であっても、腹八分ぐらいが良いでしょう。満腹も、腹八分も、美味しさは、同じです。満腹の場合、後に、いろいろな病気の原因になることがあります。何事も、腹八分が良いでしょう。
通解
珍美な食事であっても、食べ過ぎないように注意しましょう。食べ過ぎて満たされることは、後に禍を招く可能性があります。しばらくの間、食欲を抑えることで、将来の問題を避けることができます。
少しの量で十分に味わいを楽しむことを覚えれば、多く食べる必要はありません。少ない食事で美味しさを感じることができれば、過度に食べることなく楽しみを同じように味わえ、そして後に災難を避けることができます。
万事において十分に満足することで、無駄な労力を減らすことができます。特に飲食においては、過度に食べることなく満足することを心がけましょう。
また、最初から慎重に選ぶことで、後に問題が起こることを避けることができます。自制心を持って最初から適切な食事を選ぶことは重要です。
気づき
人の欲望には、際限がないとも聞きます。どんなに、財産があっても、それを増やそうとするあまり、墓穴を掘る場合も多々、あるそうです。足りるを知ることが一番かも知れませんね。