養生訓154

飲食は飢渇(きかつ)をやめんためなれば、飢渇(きかつ)だにやみなば其(その)上(うえ)に、むさぼらず、ほしゐままにすべからず。飲食の欲を恣(ほしいまま)にする人は義理(ぎり)をわする。是を口腹(こうふく)の人と云(いい)いやしむべし。食過たるとて、薬を用ひて消化すれば、胃気(いき)、薬力(やくりき)のつよきにうたれて、生発(せいはつ)の和気(わき)をそこなふ。おしむべし。食飲(しょくいん)する時、思案(しあん)し、こらへて節(せつ)にすべし。心に好み、口に快(こころよ)き物にあはゞ、先(まず)心に戒めて、節に過(すぎ)ん事をおそれて、恣(ほしいいまま)にすべからず。心のちからを用ひざれば、欲にかちがたし。欲にかつには剛(ごう)を以(もつて)すべし。病を畏(おそ)るゝには怯(つたな)かるべし。つたなきとは臆病なるをいへり。

意訳

いつも、食べ過ぎて、薬を飲んでいたら胃が弱ります。このように悪循環を繰り返す人は、心が、いやしいため、義理を欠きます。しかし、人は好物の前では無力です。強い精神力がない場合、病気になったことを想像して憶病になりましょう。

通解

飲食は、飢えと渇きを満たすために摂るものであり、飢えや渇きがすっかり収まった後でも、食欲にむさぼることなく、贅沢に食べることは避けるべきです。飲食の欲望に放任される人は、義理を欠く行動をとることになります。このような人々は、「口腹の人」と呼ばれます。食べ過ぎた後に消化のために薬を使うことは避けるべきです。消化の過程で薬の効力と胃気が干渉し、生発の和気を妨げる可能性があるためです。自制心を持って、節制して飲食を行うべきです。好みのものや口に合うものを食べる際にも、まず心で自制し、食べ過ぎないように気をつけるべきです。心の力を使うことで、欲望に打ち勝つことができます。欲望を制するためには、剛毅な意志を持つべきです。病気を恐れる場合には、臆せずに強く立ち向かうべきです。臆病な態度を取ることは避けるべきです。

気づき

何事も、「過ぎたるは猶(なお)及ばざるが如し」でしょうか。飽食の時代だからこそ、意志力が大切かも知れませんね。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し」=「何事もやり過ぎることは、やり足りないことと同じくらい良くない。」 度が過ぎたものは、足りないものと同様によくない。中庸が大切であることを例えている。中庸とは偏らず中正なことを指す。

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