養生訓130(巻第三 飲食 上)

凡(すべて)の食、淡薄(たんぱく)なる物を好むべし。肥濃油膩(ひのうゆうに)の物多く食(くらう)ふべからず。生冷堅硬(せいれいけんこう)なる物を禁ずべし。あつ物、只(ただ)一によろし。肉も一品なるべし。飣(さい)は一二品に止まるべし。肉を二かさぬべからず。又、肉多くくらふべからず。生肉をつゞけて食ふべからず。滞(とどこう)りやすし。羹(あつもの)に肉あらば、飣(さい)には肉なきが宜(よ)し。

意訳

食事は、薄味が良いでしょう。生ものや冷えたもの、硬いものは控えましょう。生肉の過食は、胃に良くないでしょう。

通解

食事に関しては、以下のような注意点があります。

淡薄な食材を好むべきです。つまり、あまり濃い味わいや高カロリーな食材を避け、シンプルで軽やかな食事を心がけましょう。

肥濃油膩な食材は過度に摂るべきではありません。脂っこく重たい食事は胃腸に負担をかけることがあります。

生、冷、堅、硬な食材は避けるべきです。生の食材や冷たい食べ物、硬いものは消化が難しくなり、胃腸を冷やしてしまう可能性があります。

熱い食材は適度に取るべきですが、特に過度に熱い食べ物を摂り過ぎないように注意しましょう。

肉を摂る場合も、量を抑えて一品にとどめるべきです。過度な肉の摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

飣(さい)の品数も少なく抑えるべきです。食事の種類を過剰に増やすと、消化に負担がかかることがあります。

生肉を連続して摂るべきではありません。生肉の消化には時間がかかり、胃腸に負担をかけやすいためです。

羹(あつもの)に肉が入っている場合、他の料理にも肉を含めない方が良いです。バランスを考えて、肉の摂取量を調整しましょう。

気づき

食事の基本は、薄味で消化の良い物が良いみたいですね。肉も、たくさん食べない方が日本人の食生活にマッチしているようです。

肥濃油膩とは
肥濃油膩(ひのうゆうに)」は、中医学の概念で、体内の異常な痰や湿濁、脂肪の蓄積を指します。これは体内のバランスが崩れ、特に消化機能や代謝が滞り、油分や濃いものが体内に過剰に蓄積される状態を表しています。

具体的には、以下の要素が含まれます:

肥(ひ): 脂肪が過剰に蓄積された状態を指します。これは過食や不適切な食生活、代謝の低下などによって引き起こされることがあります。

濃(のう): 血液や体液が濃く、黏りつくような状態を指します。これは通常、体内で水分の代謝が円滑でない場合や、血液中に余分な成分が蓄積される場合に発生することがあります。

油膩(ゆうに): 油分が過剰に蓄積され、体内で適切な滑りや流れが妨げられた状態を指します。

これらの状態が続くと、中医学ではさまざまな症状が現れ、例えば消化不良、肥満、代謝異常、皮膚トラブルなどが発生する可能性があります。治療のアプローチとしては、食事療法、適切な運動、鍼灸療法、漢方薬などで体内のバランスを取り戻すことが目指されます。

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