養生訓144

調息(ちょうそく)の法、呼吸をとゝのへ、しづかにすれば、息やうやく微(かすか)也。弥(いよいよ)久しければ、後は鼻中(びちゅう)に全く気息(きそく)なきが如し。只臍(ただへそ)の上より微息(びそく)往来する事をおぼゆ。かくの如くすれば神気(しんき)定まる。是(これ)気を養ふ術なり。呼吸は一身の気の出入(しゅつにゅう)する道路(どうろ)也。あらくすべからず。

意訳

古来、調息の法という術があります。呼吸を整える術です。この術で精神が安定します。まず、静かに呼吸すると息が小さくなります。鼻に息がなくります。すると、へその上から、かすかに息の流れを感じます。息は、元気の道路です。荒くしてはいけません。

通解

調息の方法は、呼吸を整え、静かに行うことです。ゆっくりと行うと、息がかすかに感じられます。しばらく続けると、鼻中にほとんど気息がないように感じるでしょう。ただ臍の上から微弱な息が出入りしていることを感じるだけです。このようにすると、神気が安定します。これが気を養う方法です。呼吸は一身の気が出入りする道路です。急がずに行うことが重要です。

気づき

正しい呼吸をすると副交感神経が刺激されセロトニンが出やすくなると聞いたことがあります。セロトニンとは、「幸せホルモン」とも呼ばれているそうです。
思えば、呼吸と心、即ち、精神は、不二なものかも知れませんね。

調息ー端座して呼吸を正しくととのえること。身心をおちつけるため、また養生や修養のために行なう行為。

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