養生訓116(巻第二総論下)
おもひをすくなくして神(しん)を養ひ、慾をすくなくして精(せい)を養ひ、飲食をすくなくして胃を養ひ、言をすくなくして気を養ふべし。是養生の四寡(しか)なり。摂生(せっせい)の七養(しちよう)あり。是を守るべし。
一には言をすくなくして内気(ないき)を養ふ。
二には色慾を戒(いまし)めて精気(せいき)を養ふ。
三には滋味(じみ)を薄くして血気(けっき)を養ふ。
四には津液(しんえき)をのんで臓気(ぞうき)を養ふ。
五には怒(いかり)をおさえて肝気(かんき)を養ふ。
六には飲食を節(せつ)にして胃気(いき)を養ふ。
七には思慮(しりょ)をすくなくして心気(しんき)を養ふ。
是(これ)寿親養老書(じゅしんようろうしょ)に出たり。
意訳
中国の古い医学書にも、無駄口を少なくし、色欲をほどほどしにし、薄味にして、胃の消化を良くし、唾液を飲んで、出来るだけ怒らず、ストレスを少なくすれば、長生き出来ると書いてあります。
通解
思いを少なくして神を養い、欲望を少なくして精を養い、飲食を控えめにして胃を養い、言葉を控えて気を養うべきです。これが養生の四寡と言われる要点です。また、摂生の七養として次のことを守るべきです。
言葉を控えて内気を養う。
色欲を避けて精気を養う。
食事の味付けを控えめにし、血気を養う。
津液を摂取して臓器の気を養う。
怒りを抑えて肝気を養う。
飲食を適度にして胃気を養う。
思慮を少なくして心気を養う。
これらの原則は『寿親養老書』に記されています。
気づき
私の友人にも、「養生養生と言って、人生面白くないでしょ。」と言う方もいます。
確かにそうかも知れませんが、少なくとも「病気で苦しむより、面白くない人生の方が良い。」と私は思っています。
それぞれ、人の価値観は違ってもいても良いのかもしれませんね。
養生の四寡とは
養生の四寡(ようじょうのしか)」は、中国の伝統的な医学や養生術において、健康を維持し、病気を予防するための基本的な原則を指します。
これらの四つの寡は、食寡(しょくか)、眠寡(みんか)、安寡(あんか)、動寡(どうか)の四つです。
以下にそれぞれの要素について簡単に説明します:
食寡(しょくか): 食事に関する原則で、適度な食事と栄養の摂取を重視します。
食べ過ぎや食べ不足、または不適切な食材の摂取は健康に悪影響を与える可能性があります。
バランスの取れた食事と規則正しい食事時間が重要とされています。
眠寡(みんか): 睡眠に関する原則で、十分な質の良い睡眠を取ることが強調されます。
不規則な生活や睡眠不足は、体調不良や免疫力の低下などにつながる可能性があります。
安寡(あんか): 心の安定と精神的な安寧を求める原則で、ストレスや精神的な不安を避け、
心身のバランスを保つことが重 要視されます。
瞑想や気功などの方法が提案されることがあります。
動寡(どうか): 運動に関する原則で、適度な運動や体操を行うことが強調されます。
座りっぱなしの生活や運動不足は、体力の低下や血液循環の悪化などを引き起こす可能性があります。