養生訓128(巻第三 飲食 上)

論語、郷党篇(ごうとうへん)に記せし聖人(せいじん)の飲食の法、是(これ)養生の要なり。聖人(せいじん)の疾(やまい)を慎(つつし)み給(たま)ふ事かくの如し。法とすべし。飯はよく熟(じゅく)して、中心まで和(やわ)らかなるべし。こはくねばきをいむ。煖(だん)なるに宜(よろ)し。羮(あつもの)は熱きに宜し。酒は夏月(かげつ)も温(おん)なるべし。冷飲(れいいん)は脾胃(ひい)をやぶる。冬月(とうげつ)も熱(ねつ)飲すべからず。気を上(のぼ)せ、血液をへらす。

意訳

論語にも、飲食の記述があります。お米の炊き方は、芯まで柔らかくした方が良いです。硬いものや粘りがあるのは良くないです。お酒は、夏場でも少し温めた方がよいでしょう。冷酒は、胃腸を悪くします。寒い冬でも、熱燗(あつかん)は避けた方が良いでしょう。

通解

『論語』の「郷党篇」には、聖人の飲食の方法が記されており、これが養生の要点となります。聖人は自身の健康を大切にし、その飲食にも慎重さを持って取り組んでいました。その方法は、私達にもとして参考になります。食事はよく熟し、胃の中心まで柔らかくなるように調理されるべきです。硬いものを食べると胃を傷める可能性があります。温かい食べ物は消化に良いですし、熱々の食べ物も胃に良いです。酒は夏季でも温かいものを選ぶべきです。冷たい飲み物は脾胃を傷つけることがあります。冬季でも熱い飲み物を摂るべきです。これにより気を活性化させ、血液の流れを促進します。

気づき

最近、ご飯をゆっくり噛んで食べるようにしたら、お米の美味しさが分かるようになりました。

高級なお米ではないのですが、土鍋など炊き方も工夫したら、美味しく感じます。

「郷党篇」とは
「郷党篇」は、中国の古典的な文献である『礼記』の一部です。『礼記』は儒教の経典で、礼に関するさまざまな内容が収められています。『礼記』は大きく分けて数篇からなり、その一つが、「郷党篇」です。

「郷党篇」では、礼や儀式において地域社会や共同体の結びつきがどのように形成され、維持されるべきかについて論じています。具体的には、地方社会や郷里の組織、共同の価値観や倫理観について語られています。

儒教は、礼や規範を通じて社会秩序を維持し、人々が良き人間関係を築く手段として礼儀や儀式を重視しています。この文献も、社会の中での適切な振る舞いや相互の関係に焦点を当てています。「郷党篇」は、地域社会や共同の中での調和と協力の大切さを強調し、儒教の基本的な価値観を伝える一部となっています。

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