養生訓109(巻第二総論下)
もし、大風雨(だいふうう)と雷(かみなり)はなはだしくば、天(てん)の威(い)をおそれて、夜といへどもかならずおき、衣服をあらためて坐(ざ)すべし。
臥(ふ)すべからず。客となつて昼より他席(たせき)にあらば、薄暮(はくぼ)より前に帰るべし。夜までかたれば、主客(しゅきゃく)ともに労す。久しく、滞(とどこおり)座(ざ)すべからず。
意訳
自然を侮(あなど) ってはいけません。大雨や台風の時には、早く家に帰り、いざという時に、いつでも逃げられる準備をしましょう。
通解
もし大風雨や雷が激しい場合、天の力を恐れて夜であっても必ず起き、衣服をきちんと整えて座るべきです。横になるべきではありません。もし客として他人の席にいる場合でも、夕暮れ前には必ず帰るべきです。夜遅くまで滞在すれば、主人も客もお互いに疲れます。長時間座ることも避けるべきです。
気づき
台風や大雨については、昔に比べて、予報の精度が高くなっているため対策が出来そうです。知人は、中山間部に住んでおり危険なため、早めに近くのホテルなどに待避しています。地震についても、なにがしかの準備をすれば、被害を少なく出来そうです。日常生活においても、慎みと畏れをもって自戒したものですね。
「薄暮」は
「薄暮(はくぼ)」は、夕暮れ時や日が傾くころ、日が沈みかけている時間帯を指します。夕方から夜にかけての微かな明るさが残る時間帯で、日没に近いけれどもまだ暗くなりきっていない、微かな光のある時間を指します。この言葉は、風景や自然の中での時間の経過を表現する際によく使われます。また、「薄暮」という言葉は、文学や詩においても使われ、その独特の雰囲気や感覚を表現するのに役立つ表現とされています。